エッセイ

エッセイ

生物の形態の不思議

自然界のある生物の形態には、人間の目から見ればきわめて奇妙に見えるが、実はまことに合理的、合目的に出来上がっているものだと感心するものが多くある。 たとえば昆虫にしばしば見られる「擬態」である。枯葉虫(かれはむし)は本当に枯葉に似ていて一見...
エッセイ

“モニター”について

平成13年 看護雑誌「ハートナーシング」に掲載 どこの病院のICUでも近頃は立派なモニターが備わっています。 心電図はもとより、動脈圧、肺動脈圧、心拍出量、酸素飽和度、体温などあらゆる循環動態の情報がこのモニターの画面に色彩も鮮やかに表れて...
エッセイ

“新しい”ということの教訓

昭和62年 国立循環器病センター10周年記念の院内機関紙昭和52年の夏に大阪の万博公園近くに国立循環器病センターが新しくできた。私たち心臓血管外科グループはこの建物に大学から初代のチームとして派遣された。 まだ建物のあちこちは工事中である。...
エッセイ

ニセ医者について

平成14年 看護雑誌「ハートナーシング」に掲載 テレビ番組になんとか鑑定団というのがあり、由緒ある品物の真贋を専門家が判定する。そして偽物であれば二足三文の値打ちもなくこきおろされてしまう。 一見、高価なもののように見えたものもいったん偽物...
エッセイ

患者に対する医師の説明(いわゆるインフォームドコンセント)

平成17年 新人研修医師に対する教育課題(愛媛県立中央病院) 形式;ロールプレイ 場所:院内説明用控え室 出演者:[患者(P)]、[その家族(F)]、[医師(D)]、[看護婦(N)] [患者(P)]と[その家族(F)]: あわてて室内に入っ...
エッセイ

患者はなぜ怒るのか?

- 医事紛争の事態が解らぬ医師の立場 - (1)はじめに 医療紛争は最近の医療界での大きな話題であり、課題でもある。 どこの診療機関でも一つや二つの医療紛争は抱えているものであり、病院管理者はその対応と対策に頭を悩ましているのが現状であろう...
エッセイ

健康と病気について

健康は誰もが求めるものである。健康になるために人は節制をし、薬を飲み、運動をする。健康を得るということはすなわち幸福を得るということになり、これは正しいものであるという一連の思想が成り立っている。そして世の中では健康優良児が表彰されたり、長...
エッセイ

“手洗い”について

外科医が「手洗い」をするという言葉を使う時は、手術の前にトイレに行って体の状態を正しておくという意味ではない。手洗いとは文字のごとく手を洗うことである。丁寧語の「お」を付けないところが一般用語との区別であろうか。 さて、外科医は手術を始める...
エッセイ

身体の機能について

生物は何億年という太古の昔に、海水の中から原始的な植物として発生してきたらしい。これが少しずつ変化し、進化してやがて地球上に原始的な動物が生まれるようになった。さらにこれから永い年月を経て、高等な動物が現れて来たものであると言われている。 ...
エッセイ

体内のアラーム機構について

重要な建物には外敵の侵入に備えて、あるいは火災など緊急時に備えて非常を知らせるアラーム装置が備わっております。これは日常ではあまりその存在を意識しなくても、いざという時には大いに役に立つものです。 人体にも多くのアラーム機構がついています。...